患者さんの納得を目指すために、意思決定支援に一歩踏み出そう!
しかし、病気が複雑化した現代では、残念ながら治療すれば元通りの体に戻る、というわけでは必ずしもありません。
病院では、病気を治すために一番効果のある方法を提示します。
しかし、治すことが難しくなった時、何が大切になってくるのでしょうか?
それは、患者本人が「納得して治療を選ぶ」つまり、少しでも後悔しない方法を選ぶことに変化していきます。
医療現場でその支援に一番長けているのは、看護師です。
患者さんの身近で生活を見ることができ、医療情報に明るく、多職種との連携に長けている私たち看護職が、納得の医療を目指す患者さんの支援をすること。それが意思決定支援であると考えます。
岩本ゆりの意思決定支援の特徴
病気が複雑化した現代では、治療すれば元通りの体に戻る、というわけでは必ずしもありません。
もちろん医師は病気を治すために一番効果のある方法を薦めるのですが、それが万全でない以上、患者本人が納得して治療を選ぶことが重要になってきます。
『医師の言う治療は正しいのだろうか』
『他に良い病院があるのではないか』
『自分の思いが医師に伝わらないまま進めて良いのだろうか』
看護師は、こういった不安や悩みに耳を傾け、なぜそのように思うのか、その課題の所在を明らかにし、その解決方法を様々な角度から提案し、最終的に患者さんが納得のいく意思決定ができるように支援することが出来ます。
2001年より現場で意思決定支援は看護師の仕事であると自覚して取り組んできた経験を元に、意思決定支援のプロセスの作成に関わり、それを実践してきました。
今度は、皆さんに現場で今日から意思決定支援が実践できるようノウハウをお伝えしていきたいと思っています。
患者さんが納得して医療を受けることは、看護師自身のやりがいに繋がります。看護師が現場で使える意思決定支援が広がっていくことを願っています。
それでは、そもそも意思決定支援とは何でしょうか?
NPO法人楽患ねっとでは、患者の意思決定支援を「患者の意思決定を困難にしている“真の課題”を抽出し、納得できる解決方法をともに考えること」と定義しています。
この「真の課題を抽出する」ことが意思決定支援の肝となります。
基本的な心構えとして、「意思決定を困難にしている“真の課題”とは何かを考えながら傾聴すること」が最初の一歩となります。
しかし、傾聴をしたあと「課題を見つけるために考える」と言われても、どう考えていけばよいのかが難問です。
そこで、そこで、NPO法人楽患ねっとでは「患者が納得のいく治療や療養方法を決めるための推奨手順=楽患チャート」を考案しました。
楽患チャートとは「患者が納得のいく治療や療養方法を決めるための推奨手順」です。
病気を知ること、生活の変化を知ること、自分を知ること、自分はどうしたいかを知ること、そして、実行です。
全体を通して、自分の感情に向き合うことも必要です。
このいずれか1つでも満たされなければ納得には至りません。
看護師が傾聴するとき、この図を頭に思い浮かべてみるのです。
すると、その人の課題、満たされない何かが浮き彫りになっていきます。
この意思決定の手順は、大きく(1)知識、(2)価値観、(3)手段、(4)感情──の4つに分類されています。目の前の患者さんは、この4つの分類のどこに課題を持っているのかを意識しながら傾聴します。
もちろん、課題は4つのうちの1つだけに当てはまる、というわけではありません。
ACPや人生会議という言葉が流行りのようになっている昨今ですが、医療の現場では30年前の私のように目の前の患者さんにどうすれば良いのかとたちすくんでままの人が多いのが実情ではないでしょうか。
このHPでは、そんな悩みをお持ちの方に意思決定支援とは何か?